知られていないだけで、日本の国立大学は既に経済的に弱い家庭にはとても優しくできていて、学ぶ権利が保障されています。
日本の大学の「高額な」授業料が払えるかどうかを気に病んでいる学童やその親御さんも多いと思うので、以下に私の日本の大学で授業料免除を受けた具体的な体験記を、岩手大学の例を最新例として併記しながら説明します。
これを読んで、全国の進学を経済的な事情で成績優秀者にもかかわらず進学を迷っている高校生や親御さんの判断材料になれば幸いです。
また毎日もやしばかり食べてはお腹を空かせているような貧乏大学生も、国公立なら迷わず授業料免除を申請してみましょう!
はじめに〜この体験記の構成・中身〜
この体験記は実際に地方の兼業農家の家庭の子供(=私)が200X年から201X年まで(身元特定を避けるためXとしています)、東京都内の国立大学に大学学部四年+大学院修士課程二年間通い、その間に大学等から授業料免除はじめ援助を受けていた実際の体験です。
母子家庭でないと免除を受けられない等では決して無いし、人によっては入学から授業料までずっと免除、いわば「タダ」です。
日本の国立大学で長らく続くこの素晴らしい制度をもっと多くの人に知ってほしいと思います。
また卒業してから年数が経っているので、最新の事情や地方国立大の具体例については岩手大学の現行制度を適宜例として挟みます。
見たところ、今も昔も、地方も都心も国立ではほぼ変わらないようです。
どんな援助が受けられるか
入学料
入学料の納付の猶予と納付免除があり、免除も全額免除、半額免除があります。一般に入学料の免除は授業料の免除に比べてハードルが高いとの噂です。
あくまでも噂です。
申請すれば支払いの猶予は受けられます。
授業料
授業料も納付の猶予と納付免除があり、免除も全額免除、半額免除、1/4免除等があります。
大学の格安寮に優先的に住める!
大学運営の寮に格安で住めるのは授業料免除並みに有り難いです。
月々の家賃が500円~1万円程度で、都内に住めます。受験生は是非、行きたい国立大学の寮について調べてみましょう。
また一部の国立大学では地方女子学生にアパート代を補助しているそうです。
その他、地方自治体や日本学生支援機構による無利子奨学金の貸与や、各企業や大学、団体による給付型奨学金などがあります。
どんな人が入学料・授業料免除や猶予を受けられるか。
岩手大学の基準によりますと、授業料・入学料と共通して
学生本人からの申請に基づき、経済的理由によって納付が困難であると認められる者
又はその他やむを得ない事情があると認められる者。
東日本大震災により被災された方
が申請対象者です。
都内国立でも同じでした。
また入学して二学期以降は、成績がよほど悪くないことも条件になります。
この「経済的理由」が非常に曖昧ですが、周りの授業料免除対象者は具体的にはこんな感じでした。
- 両親が既に定年退職済の年金生活者
- 母子家庭で収入が多くない
- 両親共に健在だが、四人兄弟が同時に別の都道府県に自宅外で大学または専門学校に通う
- 実家が斜陽産業の自営業で収入が不安定かつ多くない
- 家族に病気療養者や要介護者がいる
上記の組み合わせもいます。
いわゆる貧困家庭だけでなく、兄弟の多い中流家庭も多く含まれました。
同級生達は皆、朗らかで明るい人達なので、さぞかし恵まれているのかと思いきや、苦労して大学に通う学生も多い訳です。
一方で、認められていなかったのは、
- 親子関係が良くないので親に授業料を払って欲しく無い
- 大学生の兄弟がいるけれどもいずれも自宅からの通学または/かつ、世帯年収が十分に高い。
です。
さらに、病気など然るべき理由が無くして留年したり、評価がよほど悪いと厳しいみたいですが、ちゃんと理由を説明できれば大丈夫みたい。
また、まだ大学での成績が出ていない新入生の段階の成績評価にはセンター試験の結果を使うという噂が私の時にはありましたが、入学が許可される(=合格)レベルなら問題は無いはず(岩手大学には入学料に関しては成績に関する記述なし)なので、ビビらずに必要な人は申請しましょう。
また、浪人は授業料免除の審査基準に全く関係ないです。
浪人で授業料全額免除者は何人もいます。
「授業料免除や入学料の免除は貧乏家庭っぽくて恥ずかしくないか?」
「成績が飛びぬけて優秀でもないのに申請してよいのだろうか」
などは心配ご無用。
奨学厚生課はプライバシーはしっかり守ってくれますし、申請者は思ったよりもずっと沢山います。
奨学厚生課の人とは寮などのこともあり、ずっとお世話になるので怖がらずに疑問点はどんどん質問して解消していった方がいいです。
審査方法・プロセスは?
おおまかな流れ
申請から免除までのプロセスはおおまかに言うと、
①申請書をゲット
②申請書に記入&必要書類を集める
③奨学厚生課窓口に提出&申請
④審査結果が自宅ポストに届くまたはメール・オンラインで結果発表
という感じです。
提出書類
提出書類については、具体的には
などを提出し、世帯年収と支出を証明し、その差額から授業料納付が困難なことを証明する必要があります。
各種書類を集めるのは慣れないうちは大変ですが、慣れると学期始めの恒例行事になり、負担には感じなくなります。
また公平性のためにも、各種書類を提出するのは当然のことだとも思います。
収入を証明するには、源泉徴収やアルバイトをしていたら所得証明書等を世帯分提出します。
支出を証明するためには、家族に学生がいる場合は在学証明書、病人や長期療養者、要介護者がいる場合は診断書の写しなどを提出します。
支出を証明するからといって、個々のスーパーのレシートを集めるとかは必要無いのでご安心を(;^ω^)。
ただ、長期療養者の領収書?は医療費控除?とかで必要なので取っておいた方が良いでしょう。
母のがん治療の医療費のレシートのコピーを所定用紙に貼り付けて提出した覚えがあります。
詳しくは説明会や申請の手引きでご確認を。
私の場合は兄弟の一人が留年していたので、申請時には冷や冷やしていましたが、結果から言えば問題は無かったように思います。
また母親ががん治療・療養中でしたが、授業料免除に必要な書類は病院側は快く記入してくれたそうです。
申請書は、審査に必要な世帯情報や、申請理由(=嘆願書)を記入します。
今はPDFがあるのでデジタル記入なのでしょうか!?
私の時代は手書きで何度も書き直しをしました。
手書きの場合は鉛筆で下書きしてからボールペンでなぞり、ボールペンが完全に乾いたら最後に消しゴムで鉛筆を消すと何度も書き直したり、修正液を多用しないで済みます。
具体的な数字を使った審査基準はこちらの記事に詳しいです↓
申請書類提出!
当たり前ですが(当たり前が難しい(;^ω^))、申請の締め切りには公平性のためにも必ず間に合わせましょう。
書類を全部集められなくても、後日提出等もできるので、持ってる書類を集めて奨学厚生課に行き、受領印をもらいましょう。
審査期間は納付自体は猶予があるので、学生は勉強すべし!バイトすべし!
申請書類の内容について、申請者(学生本人)に問い合わせることがあります。
この一言が、学生の時には何故か怖く聞こえたのですが、「不足書類や記入漏れがあったら問い合わせます」程度の事で、心配はご無用です。
プライバシーは超厳重に守ってくれますし、申請側も学年関係なく学生同士で集まって申請書を書いたり、相談したりむしろ(^o^)/\(^o^)ナカーマ仲間っぽくなります。
みんな各々頑張ってるんだね!一緒に頑張ろう!って感じです。
ぜんっぜん、恥ずかしいとか惨めな思いはしないし、むしろ「免除されてんのか!凄いじゃん(成績優秀者扱い)!」という感じです。
審査結果
時代はデジタルだから、今時はオンライン結果通知だったりするのでしょうか?
私の時は、郵送でした。
封筒が軽いと、めでたく全額免除の知らせで、やや重いと、振り込み用紙が同封されているので半額免除や納付猶予になります。
私はずっと全額免除または半額免除でしたので、納付猶予の封筒は知りませんが半額免除よりもさらに重いとかいう噂。
半額免除の時は払えるか不安になりますが、案外なんとかなります。
まとめ
- 知られていないだけで、日本の国立大学は現行制度でも入学料と授業料に免除や納付猶予制度があり、「支払い能力の無い家庭」から授業料を徴収することはまず無いと言っていいと思われる。よって高校生は安心して国立大学を目指すべきだし親は応援しましょう。
- 大学の奨学厚生課は優しく面倒見がいいので、曖昧な人生相談では無く(そういうのを聞いてくれる人もいるが)具体的なお金の話はどんどんするといい。
- 書類を集めるのは大変だけどすぐ慣れるしいい社会勉強にもなる。さらに公平性のために必要。
- 多くの国立大学は格安の寮有。また稀に住宅補助を出してたりもする。
がんばれ受験生&大学生!
高校生・受験生へ
親が「大学に遣るお金が無い」と言っても、お金は後から付いてくるので、今は頑張って勉強して国立大学に入りましょう。
可能ならば旧帝大で。今は少子化ですので、昔と比べても名門大学に入りやすくなっています。
親戚に旧帝大がいない、通っている高校の卒業生に旧帝大がいない、進路指導の先生が無理だと言う、全部昔の話です。我武者羅に頑張ってみて!
国立大受験は科目数が多くて大変だけど、後で思わぬところで役に立つので、なんでも楽しんで学ぶといいと思う!
大学生へ
勉強もバイトも頑張れ~。
自覚はなくても今は若くて綺麗で努力次第ではまだまだなんにでもなれるんだから、お金の事であまり不安がらずに悩まず、今を楽しんでください。
授業料免除申請の参考に本稿が役立てれば嬉しいです。
あとは大学生なら節約術以外にもお金について早い段階で学んでおいた方がいいですよ(老婆心)。
私統計では、お金持ちの家庭出身者ほど大学生の頃から社会やお金儲けに敏感で、反対に授業料免除を受けている家庭の学生は学問一直線で社会慣れしていなかったりお金事情に疎かったりインターンシップや就職活動で出遅れる傾向にあると思います。
学生のうちは大丈夫でも、社会人になったら付け込まれるし色々と不自由するので馬鹿らしいと思わずにできるだけ早くから少しでもお金とか社会の仕組みについて、特に理系ほどしっかり勉強しておくといいと思います。
普段はバイトなり勉強なりに忙しいと思うので、酷い風邪引いたり実家に帰省したりで暇な時にでもKindle Unlimitedの初回30日無料体験でも使ってお金や制度、ビジネスマナーとか「お金持ちの家庭で自然に学んでいること」を自主的に学んだ方がいいです。
謝辞
私にとって、授業料免除申請は学期はじめの恒例行事でしたので、書いててとても懐かしい気持ちになりました。
学ぶ機会を平等に与えてくれた、国に、大学にとっても感謝しています。
母校の大学には少額ですが、寄付を続けます。ありがとう大学&国!
制度の不満(18歳以下は読まないでね)
ありがとう!で爽やかに終えたいのは山々ですが、それだけではないので最後に影の部分も書いておきます。
大学での授業料免除や寮への優先入居についての不満は何と言っても外国人留学生、とりわけ中国人留学生の不正です。
提出する書類は外国人である彼ら彼女らにとっては完全に自己申告なので、「お金は大事デス」「安く無いならそもそも日本に勉強しに来まセンカラ」とか言って中国人達は平気で虚偽申請していました。
同じく外国人留学生でもデンマーク、オランダは包み隠さず金額と事情を書いて、判断を仰ぐといった感じでした。
日本人がバイトをし、もやしばかり食べる毎日なのに対して中国人は虚偽申請を行った上で日本人よりもずっと羽振りのいい暮らしを日本人の血税でしているのは非常に不条理に感じました。
また授業料免除とは少し離れますが、大学生のお金事情について。
国費留学生制度についても、多くの中国人留学生や韓国人留学生は学部一年生から学費生活費お小遣いまで日本から月14万円位もらえて、卒業する頃には貯金もあります。
それに対して、日本人は、奨学金という名の学費ローンがあり、毎月返済していくことになります。
奨学金とはいえ、借金は借金な訳で、若いうちはそれなりに心の負担です。
22歳、大学卒業の時点で留学生と日本人が同じ会社に就職したとして、何十年も日本に税金を納め続けて来た日本人の子供が多額の借金を抱えた社会人生活のスタートなのに対して、納税をしたことの無い外国人が日本人の税金から支給されたお小遣いを貯めて余裕のある生活のスタート。
わかっちゃいるけど、馬鹿らしい気分にもなります。
留学生支援自体は全く否定しませんが、留学生の大半が今やGDPで日本を追い抜いた中国(ドイツ政府は中国人留学生への支援を打ち切り在独中国人留学生は中国政府の奨学金で来ているはず)や成長著しい韓国に偏っていることを踏まえると、この制度が果たして日本の国際化や海外への支援策として機能しているかは甚だ疑問です。
もっと厳密に地域枠を設定し、豊かな隣国よりも広く公平に世界から留学生を集める努力をすべきではないでしょうか。
仮に他地域で枠が埋まらなかったら、「該当者なし」でその分を翌年度や日本人の学生に回すくらいのことをして欲しいと思いました。