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森鴎外の雁を読みました。
今までも読もうとはしましたが、何となくすぐ閉じていました。
雁を読み進めるきっかけになったのは開いてすぐに、主人公岡田が「美男」であることが発覚したから。
俄然読む気になりました。
森鴎外先生の文章はちょっと難しめの文章が多いと思っていましたが、雁は平易な文章で書いてあって、安心、安心。
2日位で読み終えることができました。
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お玉と岡田がもっと近づいて欲しいなぁ、と思いながら、もう夢中で読みました。
主人公の岡田は医学生で、お玉は無縁坂に住む女。上野や不忍池、御徒町に岩崎邸、赤/鉄門とか、地名や固有名詞が懐かしく、地理がよくわかるのが不思議な感じがしました。
語り手の「僕」にはさして興味は湧きませんでした。
ロシアの小説っぽいな、と思っただけで。
末吉は、実写化するなら椎名桔平(ファンは怒るでしょうが、この役は下品な役者にやらせたらお玉が不憫過ぎて見てられない)だな、と思っていました。
個人的にはお玉の父親と末吉の嫁が面白いから好きです。
切な過ぎる!
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ちなみに森鴎外の英語版のWikipediaでは、代表作は雁ということになっています。
作品別のホームページ(英語)は雁ただ一つなんです。
えー、日本を代表する文豪なんですけど。
これは後日記事を新たに書くしかないな。
思うに、森鴎外は翻訳者に恵まれなかったに違いない。
こんな切ない話に、雁、というタイトルを付けたのもまた粋だね。
私なら「お玉と岡田の切なくはかない慕情」とかわけわからん安っぽいタイトルをつけてしまいそうなものを。
三四郎もそうですけど、相思相愛(と思い込みの激しい読者は憶測する)の二人なのにー!!
三四郎は、「ストレイ・シープ。ストレイ・シープ」でウォーっとなるし、雁は、最後のお玉が無縁坂で岡田の背中を見送る所でウォーっとなる。
必読ですよ、これは!