昭和を代表する女性のシンガーソングライターがユーミンと中島みゆきなら、平成のそれは宇多田ヒカルと椎名林檎(とaiko)と言っても過言ではないでしょう。
かく言う私は椎名林檎の楽曲はずっと食わず嫌いをしていました。
最近夜中のYouTubeで思いがけず聞いたことがきっかけで、椎名林檎ワールドにドはまりしています。
そんなんで椎名林檎を聞き始め、MP3音楽ファイルも購入し始めたファン歴一ヶ月のひよこファンが選んだ椎名林檎(関連)の名曲七曲をご紹介します!
椎名林檎は怖いイメージがあった
私がなんで椎名林檎をこんなに長らく敬遠していたかというと、端的に言えばメンヘラっぽいコアファンが狂信的に崇めているイメージだったからです。
特にデビューから数年はジャケット写真や売り出し方も含め、前衛的でしたし。
尤も、本人はMVと作品が同一視され、曲や歌ではなく、使い捨ての広告商品として消費されていくことに違和感を当時から感じていたみたいですが(2008年7月放送のトップランナー談)。
また高校の頭のいい同級生や年上のちょっとカッコイイと思った男性はみんな椎名林檎を才能があるとか褒めてるイメージがあるので若干の嫉妬も(笑)。
コアファンが勧める曲は本能とか幸福論とかギブス、ここでキスして、とかなんですけど、名曲には名曲だし好きには好きなんですけど、正直プレイリストに入れるには重い。
林檎様のひよこファンでも無理なく聞けて、しかも音がめちゃんこお洒落な曲を七つ紹介します。
ひよこファンが選ぶ椎名林檎の名曲7選
①長く短い祭り
椎名林檎 - 長く短い祭 from百鬼夜行 - YouTube
椎名林檎2015年第二弾シングルリリース!8月5日(水)発売の両A面ニューシングル『長く短い祭 / 神様、仏様』。 『長く短い祭』は「コカ・コーラ」2015年サマーキャンペーンCMソング。(公式YouTubeより)
私は普段は洋楽ばっかり聞いているんですけど、J-POPの中でも椎名林檎の音楽は音が抜群に洗練されていてお洒落な感じがします。
「長く短い祭」は元東京事変のギタリストであった浮雲とのデュエット曲で、オートチューンのかかったふたりの歌声が管楽器と鍵盤と絡み合う、ブラジル音楽の要素を取り入れたダンスチューンになっている。
ジャケット写真は青森ねぶた祭り、ライブパフォーマンスのダンサーは阿波踊りとどちらも日本の夏祭りを模しているのも素敵。
ミュージックビデオは不倫関係(?)の男を監禁殴打後、水に沈めて部屋を出て束の間の自由を楽しみ自分を解放して野で踊る中、警察に捕まるというストーリーの中々の問題作(?)ですが、篠原さやさんが哀しくも美しい。
この曲と「神様、仏様」を歌いながら登場し、正座で一礼してから歌い始める紅白歌合戦でのパフォーマンスも群を抜いてかっこよかったですね。
MVもパフォーマンスも素敵ですが、音や曲、歌詞そのものが素晴らしい。
「流し流され遠くまで来た」身だもんで、ある程度の年齢になると歌詞の意味が身に沁みます。
②きらきら武士
レキシ / きらきら武士 feat. Deyonna - YouTube
椎名林檎どころか東京事変ですらないってひっよっこなめてんじゃねーぞゴラァ(怒)
と林檎様ファンからはお𠮟りを受けそうですが、この曲は椎名林檎(Deyonna)の声だから大当たりだと勝手に思っています。
椎名林檎の声が登場した瞬間醸し出されるこの高級感よ。
若い時の北条政子みたいな?自由奔放な中にも一途で強くたくましい、芯の通った現代的な女性像が思い浮かびます。
これがただの可愛い娘ちゃんでない、椎名林檎の声だからこそ、ただのキャッチーだけじゃなく、お洒落でいい曲な感じに仕上がったのでしょう。
尤も、椎名林檎さんは自分の声がコンプレックスだったと昔からよく言われていますが、凄く凄く特徴と空気感とカメレオン的に色んな色になれる変化の付く不思議な声だなぁ、と思います。
ミュージックビデオは仲川希良(きら)さんというモデルの方がカジュアルPOPでキュートな感じと、フェミニンでエレガントな感じと一人二役で登場しています。
「そこそこCuteなアタシと一緒に」っていうフレーズが大好きです。
③NIPPON
椎名林檎2014ニューシングル『NIPPON』2014年6月11日リリース。 2014年NHKサッカー放送のテーマ音楽の依頼を受け書き下ろされた本作は、まさにこれから迎える"勝負の時"、勝ちに行かんとする強い意志を表した、高揚感溢れる仕上がり。 スポーツのみならず、人生に於いて誰もが直面する様々な"ハレの日"に力強いエールを送る曲です。 ワールドカップ・イヤーに放たれた、ナンバー1サッカー・アンセム!
YouTube公式より引用
椎名は楽曲の制作にあたって、NHKからの発表時には「幼少期を日本のブラジル・清水で過ごした自分(椎名林檎は2歳から10歳までを静岡で過ごした)のグルーブが、ここへ来て初めて活かされてしまうのでしょうか。開戦前夜の武者震いを何としましょう。曲にしましょう。精一杯取り組ませていただきます」との意気込みを示したほか、発売前に公開された公式のコメンタリー映像では「(楽曲制作の依頼に対して)今まで味わったことのないプレッシャーを覚え、本当に気負って書いた」「サッカーW杯を含め、人生に於いて時折訪れる厳しい勝負の時に絶対に勝ちに行く、そして楽しみに行く、そのすべてを込めるしかないなと、それくらい重要なミッションとして取り組んだ」と語っている。
「ほんのついさっき考えて居たことがもう古くて」っていうフレーズが最高に好きです。
この歌はサッカー応援のために作られたみたいですが、全ての勝負事や競争に共通する歌のように感じます。
「日本晴れ」という言葉を使ってサムライブルーを表現するセンスの良さとか、颯爽と駆け抜ける感じ、林檎さんやっぱすごいっす。
④カリソメ乙女
安野モモコ原作・蜷川実花監督の映画「さくらん」(2006年)のテーマ曲だったみたいですが、正直言って全く記憶にありませんでした。
というかこの映画自体が完全な駄作だと思います。
まずもって土屋アンナは配役ミス。
歌舞伎の坂東玉三郎でも一度でも見ればわかろうに、あんなガラガラヘビみたいな声をした花魁はいないし共感はもちろん、感動もしませんでした。
完全に個人的な主観ですが、さくらんもヘルタースケルター(沢尻エリカの短い手足にあの役どころは無理があった、顔は完璧なんですが)も、長澤まさみあたりがピッタリはまると思うのですよね。
映画は駄作だけど、この歌はカッコイイ。
↑のMP3もいいけど、一番カッコイイと思うのは東京事変のメンバーで演奏したバージョンのカリソメ乙女は最高です。
この曲は映画の登場人物に感情移入して作られたもので映画劇中にも幾つかのバージョンが挿入されている。
映画は土屋アンナの無駄遣いでしたが、この「カリソメ乙女」を作らせしめたなら、「さくらん」ありがとう!って感じです。
「淋しいじゃないの」の所が感情が露わになっているのがグッと来ますね。
⑤幕の内サディスティック
1999年発売のアルバム「無罪モラトリアム」からの一曲です。
約1年半チャートインし続けるというロングヒットを記録。最終的には170万枚を超える売上を記録し、ミリオンセラーとなった。
東京事変バージョンもカッコイイ。
⑥歌舞伎町の女王
1998年発売の幸福論に続く二枚目のシングル。
15歳の時に男と蒸発した、自分とよく似た「歌舞伎町の女王」の母親と同じ道を新宿で生きていく決意をしたという内容。
表題曲「歌舞伎町の女王」は椎名が福岡から上京して東京都内渋谷のレコードショップでアルバイトしていた頃、帰宅の際にSMクラブのスカウトマンにしつこく話を持ちかけられたことから着想を得て、風俗をテーマに東京都内の新宿区歌舞伎町を舞台にした楽曲である。なお椎名自身、製作し終えた時点では実際に歌舞伎町へ訪れたことは無かったが、大まかなアレンジを含め30分程度で完成させてしまったと語っている。また椎名の作品の中では珍しく歌詞の内容が完全なフィクションである。
物凄く女くさくて人間臭くて適度に安っぽいのに全体として凄く凄くカッコイイ。
クリエイティヴ・ディレクター箭内道彦さんがMCを務めていたNHKのトーク番組、トップランナーに出演時に(2008年7月14日放送)、最初は高校の軽音部でコピーバンドをしていて、次第に自作の歌も作って披露するようになったみたいです。
以下は出演時の椎名さんの発言です。
「そもそもコピーバンドをやっていたら、コピーしている曲がカッコ悪い!って思う時があって、自分が歌うのが。
歌詞とかも、なんて言うんだろう、全然意味の分かんない歌詞がいっぱいあって。
「あなたの家に行きたい」とか、全然そんなの歌いあげられない。
思い入れられないっていう歌詞ばっかりだから、曲ごと、自分が歌って恥ずかしくないものを作ろうと思って作り始めたものの、なんか割合は少なかったです、自分の曲の。
やっぱり自分の言葉だと思って、アナウンスしなくてもそう思うと、作ったものだと恥ずかしくて照れちゃったりして。
なんかやったりやらなかったりっていうことを繰り返しているうちにたくさん貯まってきて、多くそれを演ることが多くなっていきました、だんだん。
彼女の若い才能がありあまる楽曲です。
⑦人生は夢だらけ
2017年12月6日発売アルバム『逆輸入 ~航空局~』のオープニングを飾るナンバー「人生は夢だらけ」。 2016年に高畑充希出演・歌唱のかんぽ生命「人生は、夢だらけ。」CMソングとして書き下ろされたものを、 今作収録にあたり新たなる歌詞とメロディーを加え、フルサイズ化した1曲。
(公式YouTubeからの引用)
椎名林檎はメンヘラって陰口言ったの誰ですか、出て来なさい!
私はこの歌が大好きです。
繊細な感じで始まる歌ですが、自分の人生を肯定して、「~したい」を多用し、「私の人生」と宣言し、「この人生は夢だらけ」としっかり歌いながらも可愛いく緩急つけてるところが大好き.。
優しくファンタジー世界のような世界観は宮崎駿作品「ハウルの動く城」の久石譲さんの「人生のメリーゴーランド」と似た世界観を感じます。
優しさ、ですね。
以上、椎名林檎を聞き始めたひよこファンによる名曲7選でした。
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2018年は椎名林檎デビュー20周年ということで、記念企画第一弾で大物アーティストが椎名林檎の楽曲をカヴァーしています↓