1981年以降の日本人の死因のトップを占めるがん。
経済発展と高齢化に伴い、食べるものに困らなくて衛生環境も良い日本で亡くなるとしたら、老衰や事故死を除けばがんで亡くなる率が最も高く、非常に身近な病気です。
それなのに、身近な病気なのに正しい情報は広まらず、むしろ悪い商売の食い物にされています。
過去に(7年前だと思います)母が「ガンに効くサプリ」を高額で売りつけられて服用したところ発熱し、病院送りになった話を共有したいと思います。
私は当時は母と同居していなかったので、あくまで電話やメール、後日談中心であることをお断りしておきます。
二度のがんを患った母の闘病生活
母は50代で二度、婦人系のがんを罹患し、二度の摘出手術を受けて抗がん剤による治療と放射線治療を受けました。
当時は子供は全員進学か就職のため誰も家にはおらず、父と母の二人暮らしでした。
病院は車ですぐの市立病院ではなく、車で片道一時間以上の、がん治療に定評のある大型病院で、入院はもちろん診察にも同病院へ通院していました。
最初は乳がんで全摘手術を受け、完治かと思った頃に子宮がんでこちらも全摘手術を受けました。
抗がん剤治療中は髪の毛も抜け落ちますし、乳がんの全摘手術ではリンパ節も転移していたとかで一緒に摘出したので右腕は特に午後はゾウの脚のようにむくみがちでした。
もともと明るく社交的な性格でしたが、がんになったことを友達に打ち明けるのも怖く感じ、さらに闘病中も髪の毛や身体の見かけが変わったことにショックを受けて引きこもりがちになりました。
娘の私からすると、がんに罹患したら今まで通りに友達と遊びに行けないし、いずればれるならさっさと告白すればいいとは思うのですが、婦人系のがんだと打ち明けるのにも色々と葛藤があったみたいです。
婦人系のがんとはいえ、四人も産んで育てた母なら子宮を全摘手術しようが堂々としてればいいんだよ、と言っていましたが、「でも。。。」と悲しんでいました。
こればかりは自分が罹患してみないとわかりません。
ママさんバレーや地域の消防団に各種催し、友達とお金を積み立てて旅行に行ったり、我が親ながらリア充というか今で言うパリピというか、本当にワイワイ明るく楽しいことが大好き.な性格の母が病院で暇だから、「面白い本は無いか」と私に尋ねて来た時は大変驚きました。
あの母なら引っ切り無しに友達が訪れお喋りに明け暮れ、看護婦さんや同室の人に怒られたり、同室の人と仲良くなっている姿しか想像できなかったからです。
よくわからないけど薬剤師の人のことはとても好きになったみたいで、「薬剤師の先生(←先生呼ばわり)は凄いのね」と薬剤師をいつも褒めてはいました。
入院中は仲良し夫婦なので父が仕事終わりにほぼ毎日片道二時間車を運転して見舞いに行っていたようです。
あんなに人付き合いのよかった母(と父)が突然不自然に飲み会や遊びの誘いを断り、言葉を濁すのだからそれまで仲良くしていた人達も不信感を持ったみたいでした。
父も母の意向を尊重してがんとか病名を他言したりはしていないようでした。
高額サプリ売りが昼に一人でいる母の元に現れる
退院して自宅療養している時も母は常に孤独の人になりました。
そんな時だったと思います。
大してもともと付き合いも無かった、友達でもない知り合いの○○さんが昼に一人で家にて療養している母の元を訪ねるようになり、高額な「ガンに効くサプリ」をオススメしだしたそうです。
なんでも、二度ガンを患っているなら三度、四度目が見つかるのは時間の問題だとか、本当に完治するには免疫力を上げて内側から治す必要がある、とかそんな話だったと思います。
値段が数万円するため、母は東京にいる私に「これって本当に効くのかな?」と聞いてきました。
私は「栄養剤くらいにはなるだろうけどサプリでガンが消えるなら製薬会社は苦労しないわ」くらいのことしか言いませんでした。
母は父に高額サプリメントを買ってもいかききました。
父は昔から論理的だし合理思考の持ち主なので、最初は反対していたみたいですが、がんの再発に不安がる母の気休めになれば、位の気持ちで最終的にはOKしたみたいです。
喜んだ母は電話でサプリ売りの知り合いの○○さんに父のOKサインを電話したみたいです。
父の働いている昼間にサプリメントは母に手渡されました。
高額サプリを飲んで発熱して倒れる
父が家に帰ると、母が顔を真っ赤にして倒れていたそうです。
父が車に乗せてすぐの市立病院に連れて行き、点滴か注射か投薬か忘れましたが、応急処置をしてもらいました。
後日治療を受けている病院にサプリの箱を持っていき、お医者さんと病院薬剤師さんに怒られたそうです。
父はサプリメントを高額で売りつけた○○さんの自宅に乗り込んで行ったと、「カッコイイよね♡」と言わんばかりに母は喜んでいました(呆れ)。
帰省した時に「例のサプリ」を見たような気がしますが、覚えている限りは高額なだけあってちゃんと化粧箱に入っていて、でもサプリらしく普通よりも大きな白いプラスチックボトルで、カプセルは普通の日本のサプリや風邪薬なんかよりも一回りも二回りも大きな印象でした。
その後の母ですが、頭髪も生えそろい、もとの友達にも少しずつ打ち明けて、交友関係を回復し、もとの通りに温泉旅行にも友達夫婦同士で一緒に遠出したり楽しそうな老後ライフを満喫している様子。
日本人の多くは「がんで死ぬ」というのは統計的には正しいけど、「がんになったら必ず死ぬ」とは限らないのだと思います。
がんを克服して楽しい老後ライフを送っている人も現にこうしているのです。
サプリや代替療法の併用は医師薬剤師と相談して
上記の話は七年くらい前の話なので、今はもうこんなおバカな被害は無いだろうと思いきや、がん患者の交友関係の変化に伴う孤独や、再発の不安に漬け込んだ詐欺まがいの商売はまだまだ横行しているようです。
「がん再発防ぐサプリ」うその効能 会社に業務停止命令 #nhk_news https://t.co/ESuAyoY4UP
— NHKニュース (@nhk_news) 2018年7月27日
サプリメントが全て悪いとは言いませんが、服用している薬がある場合は必ず薬剤師さんに相談してからにしましょう。
仮に今現在治療中または治療開始予定で、今の治療法に疑問を持ったら相談するのはセカンドオピニオンと言われる他の医者であり、間違ってもどこからかがんの噂を聞きつけて現れる、知り合いの○○さんではありません。
がんになる前の生活が賑やかであればあるほど、闘病生活の孤独は苦しいものなので家族や打ち明けられた友人は変な詐欺に引っかからないように、注意して見張りましょう。
何がガンに効くか、ですが、少なくともうちの母の二度のがんに関しては、お医者さんと薬剤師さんと理学療法士さん、看護師さん等医療スタッフの指導に従っていたらなんとかなりました。
キノコやら何やらで癌が治せると思っている人に知ってほしい。プロ研究者が癌細胞やマウスを使って何年もかけて実験して「これは効く」と思った薬でも、本当に患者での有効性が確認されるのはわずか3.4%。癌はとても難しい病気。食品/サプリ/食事の工夫だけで何とかなるような簡単な病気ではありません
— 大須賀 覚 (@SatoruO) 2018年6月29日
父が死んだ。
— ゲレゲレ (@njJpnJDHAGX6KFp) January 11, 2019
悪性リンパ腫だった。
超初期で発見されたのに、抗がん剤治療を拒んで。
治療すれば5年後生存率は8割を越える段階だった。
しかし近●誠を始めとする抗がん剤否定派の著作を読み漁り、一切の治療を拒否。
診断から一年半で亡くなった。
皆様。がんは放置しないで。