2018年1月にパリで息を引き取ったフランス・ギャル。
日本ではセルジュ・ゲンスブールによるプロデュース曲の「夢見るシャンソン人形」が有名です。
彼女のアイドル時代の名曲やカムバック後の大ヒット曲、Ella, elle l'aについてまとめました。
夜のラジオから聞こえて来た名曲 Ella, elle l'a
画像元:https://en.wikipedia.org/wiki/Ella,_elle_l%27a#/media/File:Ella_elle_l%27a.jpg
Ella, elle l'a エラ、エラは、1987年リリースのフランス・ギャルの歌です。
ラジオで夜中にかかっていて、いたく気に入りました。
私はフランス語が全くできないので、歌詞の書き取りとかもまったくできません。
だから、カタカナで書き取って、翌朝一番、フランス人の同僚に聞いたら、エラー、エラー、とたった4文字歌っただけで、 「ふごんすがる、の、エラ エラ ね! 」と即答。
あれ、こちら最低でも1節くらいは歌うつもり満々だったんですけど。
しかもフランス ギャルはフランス語ではふごんすがる、と発音とは。
フランス語の歌詞と和訳はこちらの↓サイトをどうぞ。
朝倉ノニーの<歌物語> | エラ、彼女はそれを持っているElla, elle l'a
アイドル時代のフランス・ギャル
フランス・ギャルこと本名イザベル・ジュヌヴィエーヴ・マリ・アンヌ・ギャルは1947年に音楽一家に生まれ、1963年、16歳の時にデビュー。
翌々年の1965年、イタリアで開催された第10回ユーロビジョンで、「夢見るシャンソン人形」を歌唱し、初出場にして初優勝を果たします。
その後もフランス・ギャルはセルジュ・ゲンスブールのプロデュースの元、世界的なアイドルとして名を馳せていくのでした。
画像元:https://fr.wikipedia.org/wiki/France_Gall#/media/File:France_Gall.png
私はアイドル時代のフランスギャルが大好きで、大学生のときにはアルバムを買って、よく聞いていました。
まったくフランス語がわからないのに!
↑このピンク色のジャケットを拡大カラーコピーして部屋の壁に貼ってました。 おかっぱのブロンドの可愛いこと、可愛いこと。
フランス語が全くわからないのでタイトルは全て日本語で覚えています。
↑は初めてのバカンス、アイドルばかり聞かないで、天使のため息(神曲!)、ジャズる夜。
母曰く、当時のフランス・ギャルは本当に可愛らしくて、日本でも大人気で日本語で歌ったりもしていたそうです!
夢見るシャンソン人形、パンスアモア、涙のシャンソン日記、喧嘩の前、などなど数々のヒット曲があります。
いわゆる肺活量とか声のハリとかパンチ系の歌唱力がある系ではないけど、
とっても可愛くて、不思議な魅力があります。
フランス・ギャルのアイドル時代の名曲
以下に私が独断と偏見で選んだフランス・ギャルのアイドル時代の名曲をご紹介いたします。
おしゃまな初恋
原題はBébé requin(サメの赤ちゃん)。邦題はなぜか「おしゃまな初恋」。
フランス語がわかる人からすると「可愛いコガ可愛い声可愛い歌を可愛いく歌う徹底したぶりっ子ソング」らしいけど、私はフランス語がさっぱりなので、フランス・ギャルの可愛い声と控え目ながらも幻想的な音楽と一緒にカメに乗って竜宮城に行く雰囲気を感じます。
天使のためいき
原題はNous ne sommes pas des anges、直訳は「私たちは天使じゃない。」
当時のかわいいかわいいギャルちゃんに、「男の子は長い髪で女の子はスラックスを履いている、天国から見たら奇妙に見えるでしょうね」と軽やかに、天衣無縫に歌わせるこのセンスの良さ、セルジュ・ゲンスブールは天才かと思いますね。
ゲンズブールは「棒の飴をアニーは美味しそうに舐める」という卑猥な暗喩も込めた歌「アニーとボンボン」をフランス・ギャルに笑顔で歌わせたり、なかなか悪なところもありますが(後に「棒の飴」の意味を知ったフランス・ギャルは当然ショックを受けたそう)、アイドルのフランス・ギャルに「アイドルばかり聞かないで」と歌わせたり、この「天使のためいき」や、「夢見るシャンソン人形」のようなティーンエージャー独特の男の子、女の子の性別への戸惑いや初々しい恋心を歌わせるのは本当に凄い。
夢見るシャンソン人形
原題はPoupée de cire, Poupée de son、直訳は「ワックスの人形、音の人形。」
言わずと知れたセルジュ・ゲンスブールプロデュースのフランス・ギャルの出世作であり代表曲で、日本でも多くの歌手がカバーし、CM等でも使用されました。
歌詞の内容は、「男の子たちの事はなんにも知らないのに恋の歌を歌う、私は蠟人形」という内容。
これを可愛い可愛いフランス・ギャルに舌ったらずに歌わせる、ゲンズブールは確信犯的であり、本当に天才。
最後に盛り上がらせて、「男の子たちの情熱を恐れない」でピッタリ〆るんだから、もう優勝!優勝(第10回ユーロビジョン優勝曲)!
名曲です。
パンス・ア・モア
原題はPense a moi、直訳は英語でThink of me、日本語では「私のことを考えて(私を思い浮かべて)」。
デビュー曲のB面ですが、スキャットやリズム感に表現力などは既に完成されていて、彼女が音楽一家に生まれたことを証明しています。
ジャズっぽい音楽とフランス・ギャルの流れるような歌声と切ない歌詞が絡み合った名曲で、私はこの曲を聞いていると泣きたくなります。
けんかの前に
原題はAvant La Bagarre、直訳は邦題と同じか殴り合いの前、くらいの意味でしょう。
歌詞の内容は曲名のまんま、「私をめぐって殴り合いのけんかはしないで!」というこれぞアイドル!という王道中の王道のアイドルソングです。
曲調や歌唱法のギアチェンジが効いていて、聞いているだけでとっても楽しい気分になる曲です。
楽しい気分になる曲といえば「初めてのバカンス」や「アメリカ万歳」、「シャルマーニュ大王」も挙げられます。
彼女の歌声は本当に明るくのびのびして可愛らしい。
涙のシャンソン日記
原題はAttends ou va-t'en、直訳は「待って、さもなくば行って。」
アルバム「BABY POP」の収録曲で、フランス・ギャルの人気を決定づけるヒット曲になりました。
朝倉ノニーの<歌物語> | 待って、さもなきゃ行って(涙のシャンソン日記)Attends ou va t'en
恋のためいき
原題はPolichinelle(ポリシネル)、人形劇における道化人形の意味です。
歌詞の意味はこちらのページに詳しい(対訳あり) です。
羅針盤
原題はLa Rose Des Vents、羅針盤や風の薔薇と訳されます。
iTuneには取り扱いがありませんでしたが、ベストアルバム(記事末参照)には収録されています、とってもいい歌です。
歌詞和訳はこちら↓
これもギャルの優しい歌声とメロディーの相乗効果で不意打ちで泣けてくる歌です。
アイドルからディーバへの奇跡的なカムバック
日本国内ではフランス・ギャルは即ちアイドル時代の方が有名で、かく言う私もエラ、エラに出会うまではその後のフランス・ギャルを知りませんでした。
Ella, elle l'aは英語でElla, she has it、エラ、彼女はそれを持っている、の意味で、アメリカの黒人女性歌手、エラ・フィッツジェラルドへのトリビュートとして作られた歌です。
フランス人のアラサーの同僚曰く、フランス・ギャルの歌の中ではこの曲が一番有名だそうで、アイドル時代は知らなくてもこの歌は必ずみんな知っているとか。
この歌は1987年のもので、フランス・ギャルは1947年生まれだから当時40歳。
アイドル時代の輝きしか知らなかった私には、なんだかこの歌を知ることができたことは本当に嬉しかったです。
モノクロのミュージックビデオも素敵です。
フランス・ギャル、やっぱり声とか、歌い方とか、不思議な魅力がありますね。
大好きな一曲です。
R.I.P.
数々の名曲をフランスのポップミュージックシーンに残したフランス・ギャルですが2018年1月7日に乳がんのためこの世を去りました(享年70歳)。
彼女の歌声は私の青春そのもので、ウォークマンで何度聞いて涙したかわかりません。
充実した音楽歴とは対照的に、夫や娘に先立たれるなど、必ずしも私生活では運に恵まれたとは言い難い生涯だったかもしれませんが、私はこの先もずっとフランス・ギャルが大好きです。
羅針盤はこちらのみに収録↓