近年著しい成長を遂げ、十数億人が暮らすダイナミックな国・インド。
IT産業の勃興で近代的な面を持つ一方で、宗教や伝統が生活や文化に占める部分が多く、国民の八割が現代でもお見合い結婚(arranged marrahe)で結婚し、お見合いサイトやマッチングアプリは一大産業となっています。
インド人の友人がFacebookに百人以上いる自称「インドマニア」の視点から、国民の8割がお見合い結婚(arranged marriage)とも言われるインドの恋愛事情からお見合い結婚、離婚まで最新情報をまとめました。
インド人とお見合い結婚
私のインドの友人たち(Facebookで100人以上!)ケララとベンガルの友人以外はほぼ全員、お見合い結婚(arranged marige)です。
そして、お見合い結婚をした人達は意外にも(?)ちゃんとうまくいっています。
インド、と一口に言ってもケララとベンガルの二つの州はインドの中でも前衛的というか、教育水準も高く、近代的というか、進歩的な感じで、ケララは特にクリスチャンが多い事でも有名です(なのでビーフカレーを食べます。ヒンズー教徒では有り得ないことです)。
彼らの多くは完全に自由恋愛なので、 ダウリー(結納金・花嫁の持参金)も受け取らずに結婚しています。
また法的にはダウリーは禁止されているのでヒンズー教徒同士の結婚でも受け取らない場合も増えています。
BBCニュースを日本にいる時、散々見てインド=ひどい国、との「洗脳」完了だった私は、インドの女性の持参金の制度とかも含め、インドの結婚システムは ダウリー(結納金・持参金)とかは人身売買も同然、人権違反だ!みたいにどこか思ってたけど、現実は、案外そうでもありません。
当の本人達、新婚さんは花嫁・花婿ともに見てるこっちが恥ずかしくなるくらいに幸せそうなんです。
結婚相手の見つけ方
お見合い結婚をした・検討しているインド人はほぼ全員、間違いなく両親~従兄等、顔がわかる範囲の肉親の友人の息子・娘である場合が殆どです。
日本と同様にマッチングアプリもインドで大流行していますが、マッチングサイトで結婚した知り合いは現在気の遠くなるような離婚係争中です。
お見合い話で重要視されるのは、同じ宗教であること、学歴と職業、年齢等の釣り合いから性格(外向的、おとなしい等)などが話し合われるそう。
性格まで!と驚きましたが、確かにインド人は頻繫に大の大人も親子で電話で話しているので、子供の性格はよく知っているのです。
自分をよく知る人同士が当人の知らない所で何度も話し合うので、いざ当人達が顔合わせをしてから結婚するまでが速い速い。先月も知り合いのインド人男性(クリスチャン、テルグ語話者)が帰国して初顔合わせからわずか2週間で結婚していました。
恋愛結婚とボリウッド映画
恋愛結婚したカップルは私調べでは100%、大学のキャンパスで知り合っています。
大学のキャンパスは出会いの場である一方で、インド人の親は子供が大学で宗教や家柄が釣り合わない人と恋に落ちて、人生で苦労することにならないか冷や冷やしているのだとか。
昔なら結婚式当日に初めて結婚相手を見る、というのもありましたが、現代のお見合いは写真紹介から入り、気に入ったら毎日WhatsApp(海外版LINE)でおしゃべりして、お付き合いが始まるようです。
いい大人が親に紹介された花婿候補者・花嫁候補者と電話でおしゃべりしただけで天にも昇るように浮かれていると、正直笑っちゃうけど、可愛らしくもあり、結婚に至らない異性交遊を繰り返してきた自由恋愛主義の国に生まれた私には羨ましくも思えたりもします。
「どんな会話をすればいいかわからない!緊張しちゃう!でもなんか好き!」
程度で、各々の両親に両者が好意が伝えられれば、あとは婚約に挨拶に結婚式まで、ジェットコースターの如く一族総勢で突き進むのがインド風のお見合いなのであります。
インドのお見合い結婚で結ばれたカップルがなぜ案外うまくいくのか、というと、最初からお互いに「別に好きで相手選んだわけじゃないし、条件が良くて、両親がハッピーだから一緒になっただけ」という、あきらめ(?)や妥協みたいなのがあるから(結婚式前はみんな盛り上がってますけどね!)、相手にあまり期待せず、それよりもお互い運命共同体だから、より良い生活を手に入れようとチームとしての協力意識が、恋愛結婚のカップルよりも高いそうです。
社会的に、お見合い結婚がスタンダードだから、未婚の若者が彼氏・彼女いなくても何にも責められません。
主に同性同士の友人グループで盛大にリア充ライフを送るのが健全であると考えられているようで、日本が「友達百人できるかな」ならインドはFacebookに友達千人台は普通です。
恋に落ちるボリウッド映画も、よくよく見れば「個人」では無く、男または女の仲良しグループ同士または一族とのグループを巻き込んでの恋の駆け引きだったりします。
日本の恋愛ドラマはせいぜい、「辛辣な助言をくれる親友」や、「鋭い指摘をするバーのマスター」なのですが、インドは人口だけでなく、人間関係も濃密なのです。
親子関係も日本よりも濃いインドでは親の許可なく異性と交際するなんてことはふしだらだ!って考えがほとんどで、デートは親にバレないようにこっそりとするものだそう。
だからデリーの夕暮れの公園には人目を忍んでイチャイチャする若いカップルが山のようにいるんだとか。
あれ、ボリウッド映画、違いますよね~???
みんなあれはフィクションとして楽しんでるらしいです。
それに最近はハリウッドの影響や世界進出を見据えてか減りましたが、よくある結末は「今世ではお互いに別々の人と結ばれるけど、来世では結ばれよう」と言って別々に嫁ぐか片方が病死または自殺し、来世で結ばれるという無茶苦茶なストーリー(もちろん、ヒロインの涙の結婚式にヒーローが現れてヒロインをかっさらって結ばれるという話もありますが)。
私も一応、死んだら実家近くのお寺のお墓に入るであろう仏教徒で、転生輪廻も理解しているつもりですが、この「来世で結ばれる」が意味不明過ぎて( ゚д゚)ポカーンなのですが、インド人は「素敵な話よね」と言って、大満足。
恋愛は来世で成就すれば良くて、現世はお見合い結婚で、宗教、家柄、性格のマッチングで恋愛という「本能」よりも「理性」で選ぶのが正しい、という考え方のようです。
「理性」で選んだはずのお見合い結婚でも、結婚前後のインド人がクールかと言えば全くそんなことはありません。
インド人、お見合い結婚でも新婚のはしゃぎっぷりはすごいです。もう、新婚さんは例外なくお花畑で、幸せそのものです。
ボリウッド映画のロケでよく使われるスイスやベルギーの景勝地、そしてロマンティック・イタリア!では、いちゃついてキャノンやニコンの大砲のような巨大レンズ付きカメラを新夫が抱え、新妻をハリウッド女優の撮影のカメラ小僧の如く、写真を撮りまくっている光景を目にするでしょう。
人生の幸せをこの結婚に全部取っておきました!ってくらいのはしゃぎっぷりです。
でも、そうなるのも理由があるのです。
王子とお姫様?ボリウッドスター?とにかく豪華絢爛な結婚式!
インドやパキスタン、自由恋愛よりもお見合い結婚での成婚率が高いあの辺の地域の結婚式は、ヒンズー教徒、ジャイナ教徒、イスラム教徒、そして土着宗教と融合した、一風変わったキリスト教徒、どの結婚式も、日本やドイツ(ドイツの結婚式はもはや手作り感満載の質素そのもの)の結婚式では考えられないくらい、とにかく豪華絢爛です。
インド人の友達がいたら「結婚式の時のDVDを見せて!」と言えば、(今の二十代から三十代の既婚者はほぼ全員持っていると思います。)きっと結婚式が連日行われる大イベントであること、あらゆる儀式や祝賀会が大規模で豪華で、「どこの王族だ」という感想を持ち、驚くでしょう。
私はこれまで複数ペアのDVDを視聴させられしましたが、庶民でもとにかく王子・お姫様、もっと言えば多神教の神様のような待遇で(結婚式は宗教儀式でもありますから!)、さらにはカメラマンがボリウッドスターのようなポージングをビデオ用に要求します。
結婚式の前後日だけでなく、結婚の約束の段階から、多量の金銀シルクの贈り物を互いに贈り合います。
あるインド人女性のお見合い結婚
知り合いのジャイナ教徒のお姉さん(PhD&MD、ヒンズー語話者)は、父の友人の公認会計士の息子(頭は禿げていて背も低く小太り)とお見合い結婚です。
最初は乗り気ではありませんでしたが、取り敢えず話だけでもしてみろとの親の命令で一時帰国。
この金銀黄金の贈り物を交換し、互いの親族と婚約お祝いパーティーを楽しみに、フィアンセの両親と一緒に婚約指輪を購入しました。
彼女は帰国後、「フィアンセは髪の毛は少し少ないけど、その分とっても落ち着いた話し方で、誠実なの!」と目を輝かせて、一時帰国の金銀黄金の「お姫様体験」を私に教えてくれました。
もう、完全に恋の魔法にかかった感じでした。
それからは毎日、フィアンセと仲睦まじく国際電話で会話を楽しみ、三か月後にはめでたくボリウッド映画も真っ青のド派手で美しい衣装とインド人女性に映えるメークで美しく変身し、本物のお姫様の如く結婚したのでした。
推測するに、あの豪華さは花嫁と花婿を舞い上がらせて、マリッジブルーを吹き飛ばすある種の魔法にかける効果があったんだろうな、と思います。
あんなお姫様体験、世界中でも経験できるのはインドとアメリカの大富豪くらいなのでは無いでしょうか。
それにあんな派手婚したら簡単には離婚できないよな、という感じもあります。
まさに、親族と財力を総出でつぎ込んで運命共同体チームメンバーになるのが、インド式お見合い結婚なのです。
ダウリー(持参金)
ダウリー(持参金)は、お医者さんであり科学者(PhD)である、在欧歴も長く近代的・キリスト教的な価値観を十分に理解しているであろう人も払ったそうです。
彼女にとってダウリーは、「夫の家で何があっても、失業しようと病気になろうと一生食べさせてもらうのだから払って当たり前」というものなのだそう。
それに、ある程度の持参金を持っておけば嫁入りした先でも邪険にされないのだとか。
法律的には禁止されていますが、実際は誰かが結婚すると言えば特に男性同士では、「ダウリーいくらなんだ?」と聞き、見栄を張って多めに答える、までがセットだそう。
ダウリーは男性の年収等にも関係し(高給取りの男性には相応のダウリが必要。)、男性の値段・価値を示すもののように考えられています。
BBCが熱心に世界中に拡散している持参金を目的とした犯罪もごく一部存在するのも事実で、持参金目当てで、事故に見せかけて料理中の嫁のサリーに火を付け殺されたという事件はあまりにも有名で、ある種の「悲劇のインド嫁」のステレオタイプになりつつあります。
あるドイツ人が冗談で(失礼だとは思うが)そのことを新婚のインド女性に面と向かって言うと、彼女は「デリーは今時電気釜・ホットプレートだから大丈夫」とにっこり返していました。チャーミング!
離婚
概ね幸せそうなお見合い結婚のインド人カップルですが、離婚のために別居中のカップルを一組知っています。
彼らは流行りの(夫側の両親=紹介者がいないため必然的にそうなったそうな)マッチングアプリで出会い、また無神論者の彼はダウリー(持参金)無しで結婚したそうです(結婚式はヒンズー教徒式)。
紙切れ一枚で即日離婚できる日本と違い、インドでは1.1%と離婚率は低く、離婚は恐ろしく難しく長く困難なプロセスだそうで、離婚するために何度も裁判所へ出向いて、平均6-10年かかるとか。
そのインド人曰くには離婚原因は妻側の浮気(夫談)だそうですが、第三者から見るには単に性格や価値観の不一致といった要素もある感じです。
ダウリーを返せ、ならわかるけど妻側は収入が無いから離婚に応じるには慰謝料を払えとか、色々とカオスです。
そのインド人夫曰く、インドでは多くの男性が何年間も「離婚させてもらえない」状態で、裁判所に通い続けなければならないそうです。
インドの低すぎる離婚率も疑問ですが、チェコとかベルギーとか、離婚率50%近くとか、それ以上、という話を聞くと何のために結婚するのかよくわかりませんね。
チェコ人曰くは「そりゃもちろん、大半のチェコ人は離婚するために結婚するのさ!」「好きなら結婚して、嫌いなら離れる。実にシンプル」だそうです。
インドの低い離婚率は、当のインド人が言うには、大概は制度上の問題というより未熟者の感情に任せた非合理な恋愛結婚よりも、結婚生活を送る上での障害を予め取り除いた「理性的な結婚」であるお見合い結婚の離婚率が低いのは当然のこと、だそう。
離婚率が非常に低いインドですが、それでも最近ボリウッド映画は「まるで離婚を推奨するかのように」、ストーリー中で離婚が良く出てくるようになったみたいです。
激動のインド、変化の波は婚姻制度にも及んでいるのかもしれません。
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A. 一秒でも若いうちに婚活しとけ!と老婆心ながら思います。若いなら年収も学歴も多めに見てもらえます。
若い人は彼氏・彼女がいたかよりも年齢や収入や価値観の方が大事です。
「若いうちは遊んでから結婚しないと」なんて言う、高齢独身者の戯言には決して耳を傾けてはいけません。
お見合い結婚でもちゃんと成婚している人はいるんですよね。
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