りんごの匍匐前進

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中学高校で習った漢文が意外と理系人の海外生活でも役に立った話

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近頃 Twitter やネットニュースなどで 漢文や三角関数不要論が 盛り上がっています。漢文・古文不要論者に言わせると、 漢文教えるくらいなら英語や中国語、プログラミングを教えろ、とのこと。

 

私も受験生時代は同じことを思っていましたが、海外に暮らして漢文(と古典)は意外と役に立ったので、勉強しておいて良かったと思っています。

グローバル化が進む現代だからこそ、古文と漢文教育は続けて行くべきだと思います。

 

 

自己紹介と私が学んだ漢文のレベル

私は高校では理系科目が好きで理系選択をしたくらいなので、大して興味も無かった世界史や古文の助詞の活用表の暗記は苦痛そのもので、成績も悲劇的に悪かったです。

経済的な理由もあり私立大学には行けないので、国立大学に行く必要がありました。国立大学の受験は科目数が多く、科目は切り捨てる訳にはいきません(世界史は諦めて地理でセンターを乗り切りました)。

 志望大学は理系入試にもセンター試験だけでなく二次試験にも古典(古文・漢文)の筆記試験がありました。 現代文が鼻血が出る程に難しかったので、古典を安定得点源にしようと勉強。

 

ちなみに使っていたのは👇これ一冊です。

他科目勉強のために制限のあるなりに頑張ったところ、センター試験や中堅私大の文系用の漢文なら難なく解けるようになりました。

 

大学受験に合格するため、必要に迫られて勉強したわけです。

 

ヨーロッパで暮らすにあたり、漢文を勉強しておいて良かったと思う理由を以下に挙げます。

 

発音以外の中国語の学習と外国語習得に役に立つ

 大学では第四外国語で中国語を学びました。文法や語法を勉強する際には受験対策の漢文の文法や単語の知識や慣れが役立ち、そんなに難しく感じませんでした

 

しかし、中国語習得の最大の関門は発音と聞き取りです。

 

中国語の発音はめちゃめちゃ難しいです

 

中国人の先生にすら「台湾人もこの聞き分けはつかないので安心して」と慰められるくらい、私は未だに正しく発音できませんし正しく聞き取れませんしもう諦めてます。

 

地理は中国語の地名も現地語発音でやるべきだ、などととんでもないことを一部の人が言っていますが、中国語はカタカナで覚えても絶望的に通じないのでしっかりとまずは漢字で覚えるのが子供たちの将来のためだと思います。

 

そもそも「漢文の代わりに中国語を教えるべきだ!」なんて軽々しく言う人は一体何カ国後喋るんでしょうね。

 

イタリア語やスペイン語なら単語を知ってれば喋ればけっこう通じますが、よりによって発音が死ぬほど難しい中国語は限られた授業時間では不向きですし、それよりも古典の教養と第二外国語への応用力を漢文で養うべきだと思います

 

古典の教養って一見無駄に見えますよね?でも知ってると特別な人扱いをされ尊敬されます。

 

世界中にいる中国人から尊敬を集めて味方にできる

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中国人は華僑も含めれば文字通り世界中にいます。 

 

そして現地の中国人は家族や血をとても重んじ、中国人ネットワークを形成し、互いに助け合いながら生きています。

 

日本人の少ない土地で孤軍分とするのもいいですが、やはり味方は一人でも多い方がいいです。

 

私はドイツで中国人と仲良くなって炊飯器をもらったりご飯を一緒に作ってご馳走になったり自転車を譲ってもらったりその他有用な情報を分けてもらいました。

 

中国人と仲良くなったのは、出身大学の威光漢文の力と私のお粗末な(口頭は全く通じません)中国語が大きいと思います。

 

まず出身大学は中国で有名らしく、卒業生というだけで中国人になぜか喜ばれます。

 

中国語はまるで会話は成り立ちませんが、初対面の外国人しか使わないこのフレーズを喋ることで一気に心の距離は縮まります。

 

初   次  见   面,   请    多    关      照。

chū cì jiàn miàn qǐng duō guān zhào

はじめまして、どうぞよろしくお願いします

 

孔子さまはもちろん、受験で習った李白(リーバイ)の詩やおぼろげな五言絶句の一部を覚えていて、マンガで読んだだけの三国志の話ができればもう古くからのすごい友達扱いです。

 

漢文も全部正確に覚えている必要は無いんです。シチュエーションにあった句を思い出して、「こんな歌があったよね」と言ってうろ覚えでも書きだすと、中国人のうち賢い人が継ぎ足してスマホも借りて完成してとても心の通ったやり取りができるのです。

 

仲良しごっこに実利は無いと言えばそうかもしれませんが、思わぬ美味しい情報を持ってたりするしまぁ(自己責任で)頼れる人は多い方がいいということで。

 

古文や漢文は歴史そのものだから

ヨーロッパでは歴史は大事

南北アメリカ大陸は若く新しい国々なので、あまり関係の無い話かもしれませんが、ヨーロッパでは歴史はとっても大事です。

 

今日、経済のショボいイタリアがG7やEU、ドイツに来ても大威張りなのは、長い長い歴史と現存する遺跡群に裏打ちされた自信があるからです。

 

ドイツの女性誌にはイギリス王室だけでなく他のヨーロッパの国々の王室の写真がたくさん登場してます。

 

歴史の長さがその国の格を表している面があります。

 

そういう視点では、日本も単なるカメラと車を売った成り上がり国家ではなく、世界的に有名な京都や世界で最も長きに渡る天皇陛下の治める国、という圧倒的な歴史の重みがある経済大国、という位置付けです、もちろん全員が知ってるわけではないけど。

 

あとヨーロッパの有名な美術館はどこも多量の浮世絵やら塗り物焼き物の日本コレクションが収蔵されています。特に浮世絵がヨーロッパ美術に与えた影響は大きいです。

 

歴史が無ければアジア人はただの劣化ヨーロッパ人

(抽象的な話で、かつ米豪などの新大陸では考えられないかもしれませんが、)

 

ヨーロッパ人にとっては、「見えないものは存在しないもの」です。

 

そしてなにも持たない人は尊敬されません。

 

差別、とは言いませんが、やはり不意打ちで自分はドイツ人でもヨーロッパ人でもないという現実に直面することがあります。

 

英語もドイツ語も私よりも下手でもヨーロッパ人というだけで様々なアドバンテージがあったり。

 

ヨーロッパでいう古代ローマ帝国や古代ギリシャに相当する偉大な歴史や文化がアジアにあったことと、漢字文化を中国や台湾、香港人と日本がシェアし、共に発展させてきた歴史はもっと誇っていいし、大切にすべきだと思います。

 

ヨーロッパでは漢字を使えたり漢文に詳しいと、中国人扱いや中国の文化や言語と日本文化を同一視混同されますが(酷い人はちょっと前まで日本は中国の一部だった、とまで)、その都度説明するしかありません。

 

漢字を使うけど中国語と日本語は異なるという事実をドイツ人に理解してもらうために私はよく、「ヨーロッパではローマ式アルファベットを使っているけどヨーロッパ言語が全てイタリア語では無いでしょ」「ヨーロッパがラテン語を学ぶように日本人も漢文を学ぶ」と言えばなんとなくは理解してもらえたりします。

 

漢字も日本語は文字に対して読みが複数あったり、かなり独特です。

教養としての古典

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https://de.wikipedia.org/wiki/Orchideenpavillon#/media/File:LantingXu.jpg

以前にこんなことがありました。

 

ある日、骨董市からアンティークの巻物をドイツ人が買って来ました。

 

漢字がたくさん書かれているので中国人を呼んで、「なんて書いてあるの」と尋ねました。

 

そこにいた中国人は全員解読するのを即時放棄して、「これはとっても古い中国語で書かれているのでわかりません。」と笑顔で言って終わりました。

 

そこに中国人でないけど漢字はできるし現代中国語はさっぱりだけど古典の漢文ならちゃんと勉強した日本人が引っ張り出されたら一目で「これは蘭亭序です。書道で名書とされてるもの」と言い当てました。幸いにも、英語版のウィキペディアにちゃんと対訳があったので大掛かりな解読はさせられませんでした。

 

蘭亭序 - Wikipedia Lantingji Xu - Wikipedia

 

中国人には「やっぱり○〇大学すごい!」だしドイツ人にも称賛されました。えっへん。

 

余力のある人はラテン語とかを日本人でも学ぶのでしょうが、私は余力が無いんで漢文をラテン語代わりの教養と位置づけてます。

 

まとめ

漢文は、ヨーロッパで生きる上では歴史ある漢字文化圏のアジア人としての教養と、世界中に散らばる中国人と仲良くなり(それでも近付き過ぎず適当な距離を保つのも大事です、それはまた別の話)、いい情報を分けてもらうのに役に立ちます。また中国語や他の外国語の学習にも役に立つと思います。

 

つまり漢文はそのうち役に立つのでちゃんと勉強しておくといいと思います。

 

 

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