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【甲種 危険物取扱者】を独学で取得した勉強法・受験体験記【2019年】

化学系の国家資格である「危険物取扱者」の甲・乙・丙種の中でも最も取扱い範囲が広い「甲種 危険物取扱者」を無事取得しました。

 

甲種危険物取扱者について、勉強法や試験当日の様子、免状の取得までをレポートします。

 

 

甲種 危険物取扱者とは?

一定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う化学工場、ガソリンスタンド、石油貯蔵タンク、タンクローリー等の施設には、危険物を取り扱うために必ず危険物取扱者を置かなければいけません。

 

甲種危険物取扱者は全類の危険物、乙種危険物取扱者は指定の類の危険物について、取り扱いと定期点検、保安の監督ができます。又甲種もしくは乙種危険物取扱者が立ち会えば危険物取扱者免状を有していない一般の者も、取り扱いと定期点検を行うことができます。

危険物取扱者について|一般財団法人消防試験研究センター

 

ガソリンなど可燃性の高い物質や、毒性や爆発など危険を伴う物質を一定量以上、輸送・貯蔵など取り扱うには危険物取扱者の資格が必要です。

 

危険物取扱者のうち、甲種危険物取扱者は消防法の定める危険物区分の第1類~第6類全ての分類の化学物質を取り扱ったり、取り扱いの監督をすることができます。

 

甲種 危険物取扱者試験について

日程・受験料

危険物取扱者は国家資格ではありますが全国一斉型の試験ではなく、試験は各都道府県で行われています。

危険物取扱者試験 試験日程 2019年4月-9月|一般財団法人消防試験研究センター

 

受験料は甲種で6,500円。都道府県によって申し込み手続きは異なり、東京都の場合はこれに更に郵便局で払い込み☞書留で願書を郵送(東京都)だと郵送料や手数料が加わります。

 

受験資格

 乙種危険物取扱者の免状を持っている人や、化学に関する学科や学部・大学院を卒業したり、関連科目の単位一定数以上取得した人に受験資格があります。

受験案内|一般財団法人消防試験研究センター

 

試験内容

試験内容は

  1. 法令 (15問)
  2. 物理・化学 (10問)
  3. 性質・消火 (20問)

の3部構成で合計45分。試験時間は2時間30分。

 

回答方法はマークシート方式で、各科目6割以上得点することで合格となります。

 

難易度

合格率は2割から3割なので、「きちんと準備すれば合格する」類の試験といえるでしょう。

 

受験体験記

 申し込み手続き

申し込み方法や期間は各都道府県で異なるので事前にホームページ等で確認する必要があります。例えば受験料は、東京都は郵便局払い込みな一方で神奈川県はクレジット決済OKだったり、インターネット申し込みが可能な受験者の対象も異なっているので注意が必要です。

 

書面申し込みの場合、試験案内を入手する必要があります。試験案内は消防センターや、近所の消防署でも配っています。

 

試験案内を入手したら、願書に漏れなく記入して受験料を郵便局で払い込み、甲種取扱者の受験資格を証明する書類(私は化学系の卒業証明書)等の必要書類を揃えて持参または特定記録郵便で郵送します。

 

あとは後日受験票が届くのを待つだけです。インターネット申し込みの場合は受験票のPDFがE-Mailで送られてくるので自分でA4用紙に印刷します。

 

甲種 危険物取扱者の勉強法

甲種危険物取扱者試験は【本で理解+記憶】の独学で十分に合格できると思います。

 

私が購入したのは以下の2冊。

 

「わかりやすい!甲種危険物取扱者試験大改訂版」は素晴らしく簡単なのによく出来ていて、はっきり言ってこの1冊をしっかり勉強するだけでも余裕で合格できると思います。

 

消防法など「理屈抜きに暗記」しなければいけない箇所を語呂合わせや面白いイラストで楽しく覚えることができます。とってもお勧めの1冊です。

 

「本試験によく出る!甲種危険物取扱者 問題集」は「わかりやすい!~」と同時購入しましたが、試験の3日前に手薄の消防法の範囲をパラパラめくる程度でほとんど使いませんでした。

 

が、問題を解きながら理解を深めたい人や絶対に一発で合格したいという人には最適だと思います、お値段もお手頃価格ですし。

 

問題集は「わかりやすい!~」と同じ作者による解説で、教本の方に無かった語呂やイラストも抱負にあるので非化学クラスタや化学の経験年数が浅い人の知識の補強には最適です。

 

必要な勉強時間

勉強時間は化学の素養のある人ならフルタイム勤務者で1カ月程度、余裕を持って合格したいなら3カ月程度あれば問題ないんじゃないかと思います。

 

具体的にどうやって勉強したかといいますと、

 

①通勤のバスや移動時間、隙間時間に教本をパラパラと通読

②週末は図書館で座学。一番とっつきやすい物理化学☞性質・消火☞消防法の順番に、教本を読み、ノートにメモを取りながら通読し、各章末の練習問題を解く。

 

「頭を動かすには手を動かす」じゃないけど、受験生の時に立ち返って、参考書の要点をB5ノートにメモを取りながら知識を整理・復習しました。

 

以下に各部の試験内容と対策、勉強法を述べます。

 

第1部「危険物に関する法令」の対策

第1部の「危険物に関する法令」(15問)の法令とは、ずばり消防法のことです。これは危険物取扱の手続きや貯蔵・運搬に関する法や条例の知識なので、化学の知識では解けません。よって、一から勉強して覚える必要があります。

 

はっきり言って、あまり面白くはないので一番学習意欲が湧かない分野でした。勉強のモチベーションが上がらない時は過去問や模擬試験に挑戦して【暗記しないと100%不合格】という現実を見たり、ちょっと散歩をして身近な消防法を見つけると意欲が湧くと思います。

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ガソリンスタンドを見たら「保安距離」
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身近な表示や標識も消防法で色や内容が決まっています

「暗記するだけなら試験前夜にやれば楽勝!」と後回しにするとひどい目に遭うので、ちゃんと勉強しましょう。

 

頻出項目の「指定数量」は第3部の「性質・消火」で第1類~第6類の区分と性質を頭に入れてから勉強すると覚えやすいのでお勧めです。

 

第2部「物理学及び化学(物化)」の対策

 

第2部の「物理学及び化学(物化)」(10問)はほぼセンター試験化学(+物理)なので、化学クラスタには一番学習・復習しやすく得点しやすいです。

 

「座学なんて久しぶり」という人はこの分野から手を付けるのもお勧めです。

 

高校センター化学に出てきた、中和や平衡反応、物質の三態や金属のイオン化傾向や気体の状態方程式、有機化合物の分類など、懐かしい内容が盛りだくさんです。

 

唯一新しくかつ頻出項目は「燃焼に関する知識」でしょう。この部分を理解すると第3部の消火に関する項目もすんなりと理解できますので、しっかり学習しておきましょう。

 

第3部「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消)」の対策

 

第3部の「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消)」は20問と最も問題数が多く、物質名も多く出てきます。

 

しかし、「性質」は実験室で有機溶媒や薬品を取り扱ったことがある人は感覚でわかるものが多いです(BuLiが禁水であるとか、ハロゲンーハロゲン化合物が取り扱い注意とか)が、経験があまり無い人は覚えることが多く大変かもしれません。

 

個人的には物質名をカタカナや漢字で覚えるよりも化学式で覚えてしまうのが楽でしたし、慣れてる人にはそっちのほうがお勧めです。

 

危険物の組み合わせも頻出項目ですが、これも語呂合わせよりも理屈で(化学反応式を思い浮かべて)考えた方が暗記量がグッと減ります。

 

第1類~第6類の分類はノートの見開きページに概要を書き込んで丸暗記しました。

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古典的手法だけどノートと蛍光ペンは勉強の強い味方

これは第1部の「消防法」の頻出項目の「指定数量」を暗記するにも役に立つ知識なので丸暗記するのが手っ取り早いと思います。

 

「消火」は第2部の「燃焼」と関連して暗記するとよいでしょう。火災や消防設備は身近なものを見て覚えるのも一つの手だと思います。

 

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図書館の隅にはABC消火器がっ!!!

 

甲種 危険物取扱者の受験・合格体験記

令和元年6月16日に神奈川県で危険物取扱試験甲種を受験し合格した体験記を記します。

 

例によって、私は消防法の勉強が退屈に思えて後回しにした結果、物理化学や消火・性質のように参考書を通読したわけでもなく前日に参考書の頻出項目(急行マークの付いた箇所)を見たりして万全とは言えない状態で試験日を迎えました。

 

徹夜するほどのやる気も体力もなく、試験日の朝を迎えました。虎穴に入らずんば虎子を得ず、受験しないことには合格はしないので、受験料ももったいないしとにかく希望を絶やさずに受験会場に向かいました。

 

試験当日の様子

試験当日は

  • 写真を貼った受験票
  • 顔写真付きの身分証明書
  • 鉛筆・消しゴム等の筆記用具(マークシート方式)

に加え、

  • PASMO(またはSUICAやICOCA)
  • 会場に着くまで道案内をしてくれる携帯電話
  • 飲み物と食べ物
  • 勉強したノートと参考書

を持っていきました。要点を書き込んだB5のノートは軽量なので移動中の電車で、消防法の指定数量の語呂合わせなどが書いてある参考書は会場に着いてから穴が開くほど眺めておきました。

 

試験会場は神奈川大学横浜キャンパス。

 

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神奈川大学横浜キャンパスは新しかった

ひとたびキャンパスに踏み入れると、随所に案内板がります。

 

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指示表示が随所にあるので迷いません

受験番号によって試験会場となる教室が振り分けられています。

 

甲種の前は丙種や乙種の試験が行われたようで、ニコニコした能天気の雰囲気の茶髪の若者が沢山いて、「彼らでも受かるなら私も受かるんじゃないか」という謎の自信が湧いてきました。

 

甲種の試験会場には乙種丙種のようなニコニコした若者は少なく、会社から強制でもされているのでしょうか、気難しい顔をしたおじさんが6割以上、若い男3割、女性1割、といった印象でした。

 

試験監督は合理的な配慮ができる人達、という印象で、アルバイトの若者が中心の某英語試験とは異なる雰囲気でした。

 

試験は制限時間は2時間30分ですが、見直しを複数回しても60分くらいで解き終わったので答案を提出して退室、帰路に着きました。

 

合格発表

合格発表の日時については試験の開始前に試験監督から説明があります。合格者の受験番号の張り出しと共に、インターネット上でも正午から合格者の受験番号は確認できます。

 

合格率20~30%と言う通り、飛び飛びの受験番号が並ぶのでドキドキしますが自分の受験番号を見つけてガッツポーズ。後日、郵便ハガキで試験結果と免状申請の方法が書いたハガキが送られて来ました。

 

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法令は60%とギリギリながら無事合格

免状の申請&交付

神奈川県の場合は神奈川県の収入証紙を購入し、合格証に貼り、所定額の切手を貼った返信用封筒を同封して免状の申請は完了します。乙種危険物取扱者の免状を持っている人は免状を返却する必要があるようです。

 

東京都は免状申請は収入証紙ではなく郵便局で払い込みをするみたいなのでここも都道府県で異なるので、試験当日の試験官の指示に従いましょう。

 

また私は東京都在住で神奈川県の危険物取扱者の試験に合格しましたが、神奈川県の試験で合格して東京都知事に免状の交付を申請をすることはできないようです。

 

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神奈川県証紙は神奈川県まで行かなくても東京都庁内で買えます

そして待つこと数週間、忘れた頃に郵便配達員さんからの着信で、配達員の手には汚い大きな文字の宛名書きの茶封筒が!!!*1

 

封筒を破くと、そこには危険物取扱者の免状がっっっ!!!

 

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危険物取扱者免状

交付年月日が令和元年のR01で始まるのが個人的にはツボで、運転免許証を持たない私には実質これが初免許みたいなものなのでとっても嬉しかったです。

 

もう一つ嬉しいことは、甲種危険物取扱者を取ったことで会社からのお給料が毎月数千円上乗せになりました。何よりも一応、国家資格ですからね!

 

まとめ

  • 甲種危険物取扱者試験は参考書の独学で十分に取得可能
  • 消防法は暗記必須、物理化学はほぼセンター化学、消火・性質は暗記よりも理解が大事
  • 免状はもらうと地味に嬉しいし役に立つことも

 

 危険物取扱の勉強は、化学的には新しく覚えることはほとんど無いので退屈に感じますが、一度全体を理解すると「消防法は化学を大学で学んでいない人にも安全に危険物質を取り扱うことができるように古の化学者が頭を捻って考え出された法律なんだな」と納得し、尊敬と感謝の念を抱きました。

 

理系ラボど真ん中の人達には「危険物取扱者の勉強なんて時間の無駄」と思う人もいるかもしれませんが、合格してみると化学を改めて色々な角度から俯瞰的に眺めるいい機会にもなったので勉強してみてよかったな、と思います。

 

難易度は高くないので、広義の化学系の勉強をされたことがある人は甲種危険物取扱者に挑戦してみてはいかがでしょうか。

*1:※免除は郵便配達員からの手渡しなので、恥ずかしい思いをしたくなかったら返信用封筒の宛名書きは綺麗に書きましょう。