
エレクトロニック・ダンスミュージックの伝説的DJで音楽家のAvicii(アヴィーチー)のドキュメンタリー映画『Avicii: True Stories』をNetflixで視聴しました。
映画『Avicii: True Stories』の内容や感想、Aviciiの生涯についてまとめました。
♪Aviciiブレイクのきっかけになった『Levels』👇♪
youtu.beAvviciの基本情報と略歴
Avicii(アヴィーチー)は芸名で、サンスクリット語の「無間地獄」avīciに由来します。
Aviciiの本名はTim Bergling (ティム・バークリング)。
ティムは1989年9月8日にスウェーデンの首都のストックホルムで音楽家の父クラース・バークリングと女優の母アンキ・リデンのもとに生まれました。
母の連れ子の兄アントンと共に様々な音楽を聴いて育ち、ピアノやギターを習うなどして楽器の演奏を始めます。
FL Studioという音楽制作ソフトを手にしたAviciiは音楽制作を開始。
高校を卒業したAviciiは18歳で自宅を拠点に創作活動に励み、作品をブログで発表したりコンテストに応募・優勝するなどして駆け出しDJとして次第に注目を集めていきます。
2011年には『Levels』を発表、ヨーロッパで大ヒット。
https://de.wikipedia.org/wiki/Avicii
『Levels』は2012年の「International Dance Music Awards」で „Best Electro/Tech House Track“を受賞しています。
2013年にはアルバム『True』を発表。
このアルバムからシングルカットされた、 アロー・ブラック(AloeBlacc)との『Wake Me Up』は69ヵ国で1位を獲得し、Youtubeでは17億回超の再生回数を誇るメガヒット。
同アルバムから『Hey Brother』、『You Make Me』を発表・数々のグローバル・ヒットを連発し一気にEDMのスターダムに躍り出ます。
2014年には4枚目のシングル『Addicted to You』を発表。
当時のドイツでは文字通り耳にタコができる程どこでもいつでもAviciiがかかってました。
2014年にはツアー『True Tour』を敢行。
また2014年にはColdplayとコラボした『A Sky Full of Stars』を発表したりもしています。
10月にはシングル『Days』を発表し、これまた成功を収めます。
2015年には2枚目のアルバム『Stories』を発表。
2月から8月にかけて『Stories Warld Tour』の世界ツアーを行いました。
3枚目のシングル『Waiting for Love』は『Wake Me Up』並みのエモい歌でこれまた大ヒット。
2016年3月28日、AVICIIは全てのツアーパフォーマンスから引退すると発表。突然の発表で世界に衝撃を与えます。
音楽の創作活動やSNSの更新自体は続けており、2017年にはEP『Avicii』を発表。
Rita Oraがフィーチャーした『Lonely together』は世界各国のチャートで1位を獲得し、Aviciiの才能と人気の健在さを示しました。
2018年4月20日、オマーンの首都マスカットで自ら命を絶ち、永眠。
世界中のファンがその早すぎる死を悼みました。
映画『Avicci:True Stories』の基本情報
Avicii: True Stories, a documentary by Levan Tsikurishvili
— Tim Bergling (@Avicii) September 11, 2017
In selected cinemas worldwide on October 26.https://t.co/HdWaiTTUBs
(拙訳)アヴィーチー:真実の話、レヴァン・ツィクリシュヴィリによるドキュメンタリー。10月26日、世界中の選ばれたシネマで。
Proud of friend and brilliant director @levan_tsik whose film "True Stories" is nominated for the Audience Award at "Guldbaggen - The Swedish Peoples Movie Award". I wish him all the luck for his hard and awesome work. Show some support and go vote! https://t.co/JULVXSMktE pic.twitter.com/j0J6Cl24OY
— Tim Bergling (@Avicii) December 22, 2017
(拙訳)友人であり素晴らしい監督のレヴァン・ツィクリシュヴィリを誇りに思う。彼の映画「真実の話」はスウェーデン人気映画賞の観客賞にノミネートされたんだ。彼の素晴らしい仕事に幸運を祈る。受賞に向けてのサポートとして投票してね!
『Avicci:True Stories』は2017年10月にNetflixと世界中の映画館で限定公開されたスウェーデンのドキュメンタリー映画。97分。
監督・脚本
Levan Tsikurishvili(レヴァン・ツィクリシュヴィリ)
キャスト
Tim Bergling (ティム・バークリング)/Avicii(アヴィーチー)
David Guetta(デヴィッド・ゲッタ)フランス人音楽プロデューサー。"Sunshine"でAviciiとコラボ
Wyclef Jean(ワイクリフ・ジョン)"Divine Sorrow(2014)"でAviciiとコラボ
Nile Rodgers(ナイル・ロジャース)
Chris Martin(クリス・マーティン)Coldplay"A Sky Full Of Stars(2014)"でAviciiとコラボ
Tiësto(ティエスト)オランダ人DJ。同時代を生きた盟友。
Laidback Luke オランダ人DJ・音楽プロデューサー
https://twitter.com/LaidbackLuke/status/987403711956897794
I’ll need to put the @Avicii movie into my arsenal of guiding new talents. For those who only see/want the glamorous side of producing/performing. There’s more to it. #RIPAvicii
— Laidback Luke (@LaidbackLuke) April 20, 2018
(拙訳)Aviciiの新しい映画を新しい才能をガイドする際の訓練場に置こうと思う。(新しい音楽を)プロデュース/パフォーマンスする華々しい側面だけを見たり欲する人のために。それだけじゃないんだ。#Avicii安らかに
Maturity Ratingは12で、視聴は12歳以上であることが望ましいとされています。なお、酒のシーンはあっても暴力やクスリ、性的な描写は皆無でした。
映画の概要(ネタバレ有り)
音楽界に彗星のごとく現れたティム・バークリングことAvicii。
スウェーデンのティーンエージャーが世界的な音楽シーンのトップDJ、作曲家に君臨し、パブリックパフォーマンスから引退するまでの生活の真実の姿を描きます。
映画ではアヴィーチーの商業的な成功や栄光だけでなく、健康上の問題や苦悩など内面的な葛藤も描き、現代の音楽業界と天才の矛盾について根源的な問いを投げかけています。
感想
まず、大衆イメージーのアヴィーチーとティム・バークリングのイメージの違い驚きました。
アヴィーチーはエレクトロ・ダンスミュージックのDJで、世界中のパリピが踊り明かすミュージックフェスティバルやらアリーナツアーをこなす、お洒落でちょい悪なイケイケパリピタイプだと勝手に思っていました。
が、真実のアヴィーチーはどちらかというと内向的な性格で、音楽を愛する天才肌な音楽家でした。
本ドキュメンタリーでは、アヴィーチーが創作活動を開始した自宅を改造したスタジオや初期の創作風景、アヴィーチーの代表曲である「Wake Me Up」のギタリストやヴォーカリストとのセッション風景など、彼の作曲家・音楽家としての一面がふんだんに描かれています。
ドキュメンタリーの後半、アヴィーチーはカール・グスタフ・ユングの本を読んだと語っており、「内向的なことは悪いことだと思っていたし、罪悪感も感じていたけどユングを読んだら肯定された気持ちになった」という趣旨のことを述べています。
アヴィーチーの属するEDMのショウビジネスやダンスミュージック界のツアーに来る観客はパリピタイプですからね。
DJが内気だったり内向的な性格というのは確かにショウビジネス的にはイメージに合わないかもしれません。
そんな彼の一面を描いたこのドキュメンタリー映画『Avicci:True Stoies』の公開を許可・支持し、自らツイートしたアヴィーチーの胸の内を考えると辛いものがあります。
きっとアヴィーチはDJとして以外にも自分の見えない部分も知って欲しかったのでしょう。
アヴィーチーは世界中を飛び回るツアーのプレッシャーや不安から、パフォーマンス前に(他のDJがそうしているように)アルコールを摂取するようになりますが、これが彼の健康をだんだんと蝕んでいきます。
アヴィーチーは21歳の時に急性膵炎を患い、2014年には胆嚢と虫垂を切除しました。
ドキュメンタリーは病院内での様子やアルコールや心理的な負担に対するアヴィーチーの本音、健康上の不安などが友人でもある監督のレヴァンに語られています。
『Avicci:True Stoies』は某「情熱〇陸」よりも遥かに長期に渡って撮影されたもので、前半、アヴィーチーがスターダムを駆け上がる部分はアヴィーチーも英語で話してたりして余裕も見せたりするのですが、後半、ストレスがMAXなのかスウェーデン語の割合が多くなり、時に罵倒語を使うなどしマネジメント側との対立も描かれています。
ツアー活動の停止宣言は、「名声を手にしたスターの傲り」などではなく、アヴィーチーにとって本当に存命戦略の一部だったんだな、と思います。
このドキュメンタリー映画は単にアヴィーチーの華々しい成功秘話だけでなく、現代の音楽産業がどれだけアーティストに対して残酷になれるかをも描いています。
ティム・バークリングという、類まれな音楽の才能を持った人物が、望みもしない注目の的の真ん中に引きずり出されて消耗させられていきます。
もっと穏やかな、ティム・バークリングに合った方法で音楽を発表できる機会は無かったのか。
非常に考えさせられました。
View this post on InstagramA cuddle a day keeps the instinct away. (The hunting instinct.) (Just kidding.)
R.I.P